左右盲
偶然、「左右盲」という言葉を知った。病気ではないのだが、左右の区別がとっさにつかない人を「左右盲」というらしい。冷静に2,3秒考えればどちらが右でどちらが左かは判る。だがいきなり「そこ左に曲がって」と言われても、すぐには判断できない。左右盲になる原因ははっきりわかっていないらしいが、一般に左利きを矯正された人は左右盲になりやすいらしい。
私も「左右盲」だったのだ、と納得した。普通の人と違う自分の状態を、適切に表す言葉が見つかるとほっとする。ほかにもそういう人がいるんだなとか。(「こじらせ女子」もきっとそんな気持ちなんだろうな。)
左右盲の感覚は、左右がすぐにわかる普通の人にはなかなか理解してもらえない。夫は私が左右の区別がつきにくいことを知っていて、それなりの対応をしてくれているが、いまだに「まだわからないの?」とからかわれることもある。「左右がわからない」と言うと、知能が低いんじゃないかとか方向感覚がないのだとか思われがちなのだそうだが、そうと決まっているわけでもない。
以下、私の状態を掲げておく。
- とっさに左右の区別がつかない。よく「お箸を持つ方が右」と言われるが、自分がいつもどっちの手で箸を持っているか瞬時には思い出せない。私は箸を持つ方かどうかで左右を考えるのを諦めている。かわりに何をしているかと言うと、「なんとなくこっちが右っぽい気がする」
「こっちに曲がるのは右折だ」
「右折ということは右だから、こっちが右で間違いない」
という段階を踏んで、はじめて確信をもって「右」と判断する。 - 私は右利きである。左利きを矯正された覚えはなく、左手はかなり不器用だ。
- 知能が低いわけでもない、と思う。最終学歴は大学院で、仕事も支障なくこなしている。ネット上で何度か暇つぶしにIQテストをやったこともあるが、大凡110~120程度の結果が出ることが多い。
- 私は方向音痴ではない。空間認識能力は人並み以上にあるつもりだ。3Dモデリングもわりと得意。地図も読める。だが左右の区別がつけにくいと方向音痴だと誤解されるのか、私が「こっちが正しい道だ」といっても信用してもらえず、結局後戻りすることになったケースがこれまで数回ある。
- 困る機会が多いのが「車の中」である。同乗者がいる場合は私はほとんど運転しないのだが、父に運転の練習に付き合ってもらったときには「左右の方向指示はできるだけ早めに出してほしい」と頼んだら問題なく運転できた。(このときも「左って左折する方だよね?」と言って呆れられはしたが。)
- 地図を見ながら助手席でナビをするときは、早めに右左折を確認して言うようにしている。だが話に夢中になっているときは右左がとっさに出ず、間違えてしまったり、方向を指さししたりすることもある。
- 左右盲の人は一般には「左折」「右折」より「ひだり」「みぎ」の方がわかりやすいらしいが、私は逆であった。免許取得時、教習所では特に問題はなかったように思う。左右がとっさにわからないからといって、道路の右側を逆走するようなことはないし、運転席に座るのに助手席側のドアをあけることもない。
- 視力検査で上下左右を言わなければならないときは、最初は少し時間がかかる。だが3個目位からは、Cのようなのが「右」で逆が「左」と覚えてしまうので、あとは自動的に言葉が出てくる。
- 酒を飲み酔っているときは左右がかなりあやふやになる。タクシーの運転手に方向を告げる前に、同乗者に「こっちが右だよね」と念のため確認したら、「よくそれで大学に入れたね」と言われた。
- 体操やゲームなどで「右手上げて」など言われた場合にはテンポが遅れる。周りに参考にできる人がいれば、それを見て動きをまねている。
- 私の場合、日常生活に特に支障はない。運転も一人でナビをみて運転すれば問題ないし、出掛ける前や信号待ちに地図を確認したりして目的地にたどり着くこともできる。
こうして書き連ねてみると、私の左右盲はわりと軽度の部類に入るかもしれない。方向音痴を併発している人、運転に支障がある人、周囲の人の理解が得られず困っている人もいるようだ。私からすれば、左右が一瞬でわかる人の感覚が理解できない。だが金と銀の区別がとっさにつかない人もおられるようで?金と銀はどっちがどっちか一瞬でわかるので、左右がわかる人もそういう感覚なのかもしれない。
ものぐさ自炊体験記1
今年も自炊シーズンがやってまいりました
ここ数年、毎年スキャナと裁断機をレンタルして溜まった本を一気に自炊してます
今年は3回目。機材は毎回スキャレン.comさんから借りてます。
今回はスキャナを自前で購入しようか迷ったのですが、自宅に保管するスペースが勿体ないのと、メンテナンスが面倒なのと
ScanSnap新機種も出たことだし旧型を買うのもアレなので
今回もまた借りることにしました。どうせ裁断機は借りないといけないし。。
申し込み時にはあらかじめクレカと身分証の画像(写真OK)を準備
コースは「自炊セット(並)30」+新品ブレードオプション、送料込みで¥15,090。
以前レンタルした時は申し込みからレンタル可能日まですこし開きがあったのですが、
今回は申し込んで3日後?くらいには機材が届きました。
んで、届いてドライバインストールして自炊作業開始。
前回どうしていたか忘れていて少し手間取ったので、自分のやり方をメモっときます。
1.本のバーコードをスキャン、アプリで自動検索して書籍リストに登録
2.カバーを外して本を裁断する
3.裁断した本をスキャン、カバーは長尺でスキャン
4.カバーのバーコード部分を切り取って保管、その他は廃棄
裁断について
スキャレンさんの大型裁断機は重いですが、非力な私でも箱から出すくらいはできます。15kgくらいかな。レバーやハンドルが大きめなので、力が弱くてもある程度しっかり固定できるのは利点。
同じサイズの本を連続して裁断するときなど、黒い位置ガイド?を固定しておくと
裁断位置を決めるのに便利です。前回までやってなかった…
本をセットしたら手前側のハンドルを回して本を固定します。ここはしっかり固定しないと切断面が斜めになってしまう
切断位置が小さすぎると糊が残ることがありますが、少しくらいなら札束をさばく要領でさばいて糊の残った個所を見つけ、はがすことができます。マンガが多いので、内容が切れてしまうよりは糊が残ったほうがマシ。
表紙がすべすべの場合、本をしっかり固定できず裁断中に滑って切断面が斜めになることがあります。押さえと本の間(本の上側)に別の厚紙などをはさむとしっかり固定できます。またここに厚紙をはさむと、固定時に表紙に折れやしわが入るのを軽減できます。
スキャン設定について
面倒なのでスキャン後に画像処理とか極力したくない。とりあえず読めればいい。基本的に自炊対象はマンガ、読むのはjjComicsViewerを使っています。なので基本はPDFではなくjpgをzipで保存する。
スキャン時の設定は基本は「ファイン(200dpi)」、カラー/グレーは都度指定。詳細設定は「文字くっきり」のみON。jpgの圧縮は「4」を選択。ファイル名は年月日時分秒。
画像が細かいときは「スーパーファイン(300dpi)」、淡めのカラー画像などコントラストを上げたくないときは「文字くっきり」をOFFにします。
取得した画像はPCで見ると背景の白領域が薄いグレーになってます。特に日焼けの箇所は結構濃いめに見えます。が、白とばしなどの画像処理は面倒なのでやらない。スマホやタブレットの画面でjjComicsViewerで見ていれば、さほど気にならないレベルです。
スキャン作業について
ScanSnapS1500は、重送検出機能がしっかり働いているようで、これまで数百冊はスキャンしましたが重送を見落とすことはありませんでした。なので面倒な枚数チェックなどは省略することにしました。ページ抜けがあったらまた本を買えばいいや、と。貴重な本についてはこの限りではありません。
今回は50冊スキャンしたあたりで重送が多発(3,4回/100枚)しはじめました。重送は、見たところローラーやシリコン製?の紙押さえの部分の汚れによって発生するようです。
スキャレンさんのレンタルセットには、クリーナーセット(アルコール系の溶剤?とホコリの出ない紙タオル的なやつ)が付いてくるので、それで拭いたら重送はほとんど発生しなくなりました(0回/2000枚)。
スキャナに一度にセットできる枚数については、少年コミックで50枚(1/2冊)でも問題なくスキャンできました。枚数が多いからといって重送が起こるわけではないようです。ただ、糊が残っているとページ同士がくっついているので重送が起きたり紙がぐしゃぐしゃになったりします。スキャナにセットする前によく確認すること。
作業時間について
今日は仕事から帰宅後、少年コミック(カラーページなし)23冊をバーコード読み~スキャン後表紙切り出しまで2時間40分かけて行いました。スキャンしている合間に次の本を裁断するなど行っています。この一人流れ作業で平均1冊7分程度。1冊づつ作業するとおそらく1冊10~15分はかかると思います。少しは家事もしなきゃなので平日は多くて10~15冊程度が目安かな。
チャイナ・シンドローム バグダッド・カフェ
レンタル店で映画通が選んだ映画1位として陳列されていた。アメリカ旅行中に夫と喧嘩したドイツ人の夫人が、同じく夫と喧嘩したアメリカ人女性が経営するホテル兼カフェに逗留する話。最初は言葉もうまく通じなかった二人だが、徐々に友人となっていく。温かくてちょっと面白いストーリーだった。
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映画通が選んだシリーズ。数十年前の話だと思うが、原発事故?がテーマの話。チャイナシンドロームとは、核燃料が冷却不全で溶けて容器も溶かし、地表から地球を貫通して中国に達する…みたいな意味らしい。
最初からクライマックス並みの盛り上がりで、息もつかせぬスリリングな展開で最後まで一気に見てしまった。見てる最中は心臓が鳴りっぱなし。本当に恐ろしい話でした。
ちなみに暇子は脱原発派ではないです。
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しあわせ中国
雑誌「foresight」にて「フィクションながら現代の中国をよく描写している」云々と紹介されていたので読んでみた。
政治的な興味から購入したので、面白さはあまり期待していなかったのだが、意外にもひき込まれるストーリー展開と、余計な装飾のないすっきりした文体で、珍しく一気に読んでしまった。一部の伏線を放り投げ、楽園伝説を彷彿とさせるラストに物足りなさを感じはしたが、それでもエンターテインメントとしては充分に楽しませてもらった。一篇の映画のようだった。
内容については、中国の文化的・歴史的背景を知らないため理解しづらい箇所が多々あったが、なんとか現代の(小説の中の)中国人がどのように考えているのか読み取ることができたように思う。そこには私にとり多くの新しい発見があった。飽く迄小説の中の話なので実際にどうかということについては検証が必要だが、可能性としては大いに考慮されるべき項目である。以下箇条書きでメモしておく。ネタバレになるので本書を読もうと思っている人は以下を見ないことを勧める。
中国人は自由や民主主義といった価値観を「普遍的な価値」とは考えていない。
中国のシステムが「ポスト民主主義」の地位を占める可能性を考えている。
アメリカ、ヨーロッパと並ぶ「アジア」経済圏・文化圏の、中国を中心とした確立を望んでいる。それは環太平洋の枠からアメリカを排除し、日本と協調することで成立する。
中国人は、「日本人はアメリカに屈服させられた屈辱を感じている」と思っている。このため「日本と協調しアメリカを排除する」というシナリオを描くことになる。
中国人の多くは、過去に日本が中国に対し酷いことをしたと考えている。
上記のうち「ポスト民主主義」については、今日foresightで裏付けになりそうな記事を確認した。2013年2・3月号の「Foreign Affairs」(本家、日本版で記事が掲載されるかは未確認)に、副題「ポスト民主主義の未来、中国で始まる」という記事が掲載されたようだ。
「日本人のアメリカに対する感情」については、中国の掲示板に「日本人は米国にコントロールされていることをどう思っているのか?」というスレッドが立っていたようだ。以下は日本のまとめブログURLである。
http://touaseikei.matomesakura.com/?eid=877
また本書を読んでいる途中で、foresightに「『南方週末』の記事が書き替えられる」という記事が掲載された(しあわせ中国の作中でも南方週末の記事が書き換えられていた)などがあった。フィクションながら、リアリティを感じる要素が多かった。
- 作者: 陳冠中,辻康吾,舘野雅子,望月暢子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/10/31
- メディア: 単行本
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